年賀状はこのまま廃れる運命にあるのか?SNSとの共存は?変わりゆく新年の挨拶を考察してみた。

最近は毎年11月ごろになると出てくる話題に「年賀状離れ」というものがあります。
年賀状の発行枚数は年々減ってきています。
2003年は44億枚以上の発行枚数だったのが、2023年には14億枚と、3分の1以下に減っています。

年賀状はこのまま廃れていく運命にあるのか?SNSに取って代わられるのか?
今回の記事では変わりゆく新年の挨拶について考えてみました。

年々減り続ける年賀はがきの発行枚数

冒頭で紹介したように、年賀はがきの発行枚数は、2003年のピーク時から、2023年が3分の1以下になってしまっています。
2023年の発行枚数約14億枚は、1968年とほぼ同じ数になっていて、これが毎年減り続けている状態になっています。

おそらくこの流れは、食い止めることが難しい状況でしょう。
そもそも年賀状を出さない、年始の挨拶はSNSで、という人が増えていく状況では、2024年用の年賀はがき発行枚数も、おそらく前年を下回ることだと思います。

企業が年賀状を出さなくなっている

年賀状の減少に追い打ちをかけているのが、年賀状をやめる企業が増えていることです。
一昔前は、「年賀状を出すのが当たり前」という認識で、企業広告を兼ねたり、既存客を逃さないために年賀状を出していたのですが、最近ではそうした「常識」がなくなりつつあります。

例えば、Googleで「年賀状廃止 お知らせ」と検索してみると、大手企業を筆頭に、多くの企業が年賀状廃止のお知らせをWebサイトに掲載しています。

年賀状を何百枚と出すための経費を削減し、事務負担を減らすのが目的なのかもしれませんが、コロナ禍も大きな要因になっているでしょう。

コロナ禍で在宅勤務となり、社員がバラバラに勤務している中で、年賀状を出すリストを取りまとめるのが難しくなったという背景もあります。

加えて、SDGsや環境に配慮するという理由で、年賀状廃止を決断する企業も多くなってくるでしょう。

ただ、そうした流れの中でも、地域密着の商売をしている会社は、やはり年賀状は既存客とのつながりを持つための大事なツールであると言えます。
例えば、

  • 地元密着の中古車販売、板金屋さん
  • 保険代理店
  • 学習塾
  • 理容・美容店
  • 居酒屋、スナック

などです。
狭い商圏の中で商売をしているお店にとっては、年賀状での新年の挨拶(営業PRも兼ねて)をすることは、当面無くならないと思います。

年賀状はSNSとの共存はできるのか?

若年層ばかりか、50代以上の年代でも、「新年の挨拶はSNSで」という人が増えています。
考えてみれば当然のことで、11月や12月になって年賀はがきを購入し、年賀状を作成し、宛名を書き、ポストに投函する、という面倒くさくて費用がかかることをしなくても、無料で簡単に送れるとなると、SNSが主流になっていくのは避けられないことでしょう。

年賀はがきが初めて発売されたのが明治(1949年)からですが、ネットやSNSが発達するほんの最近まで、情報や挨拶の手段は「はがき」が中心でした。
ところが、SNSの普及がこの流れを大きく変えてしまったのです。

ここで、年賀状(はがき)とSNSの違いを簡単に表にまとめてみました。

  年賀はがき SNS
費用 年賀はがき代(1枚63円)
印刷代
プリンターのインキ代
外注費
など、コストがかかる。
無料
準備の大変さ はがき購入、年賀デザインの作成、宛名印刷など、非常に準備に手間がかかる。 元旦に友達にスマホから送るだけ。
準備不要。
送る相手 友人・知人
親戚
会社関係(上司、同僚)
取引先
主に友人・知人
(SNSで繋がっている人中心)

こうしてみると、年賀はがきが勝るところはほとんど無いようにも思えます。
ただ送る相手として、SNSの場合、SNSで繋がっている人が中心になっていて、普段つながりのない遠い親戚や上司、取引先などへは送っていないのが現状ではないでしょうか?

これら、SNSで繋がっていない人たちに対しては、年賀はがきを送る、という選択肢もあります。

  • 知人・友人などSNSで繋がっている人にはSNSで年始の挨拶を。
  • 遠い親戚や会社の上司、取引先などSNSで繋がっていない人には、年賀状を。

という使い方です。

今どき、「年賀状も送ってこないとはけしからん!」と怒る上司はいないと思いますが、やはり年賀はがきの方がフォーマルな印象を与えると思います。

必然的に年賀はがきの数は減りますが、コストや情報の即時性でSNSに勝てるはずもありません。
なのでこのように、送る相手によってSNSとはがきを使い分け、共存していく方法は、アリだと思います。

年賀状のネット通販は伸びている

年賀状が年々縮小傾向にあるのは事実ですが、その中で伸びているジャンルがあります。
年賀状のネット通販です。
スーパー等での対面販売はなかなか苦戦しているようですが、ネット通販は縮小する年賀状市場の中でも伸びているというのは、どういうことでしょうか?

その理由として、以下が挙げられます。

  • ネットで注文するだけで、年賀はがきの購入からデザインの選定、印刷内容の指定が簡単にできる。
  • 画面で仕上がりイメージを確認できる。
  • 宛名印刷もやってくれる。
  • 短納期で自宅に届けてくれる。

などです。

パソコンやスマホで注文するだけで、自宅に年賀状が届くという手軽さが受けています。
「年賀状を用意するのはコストと手間がかかる」と前述しましたが、ネット通販なら安価に手間なく年賀状ができるのです。

自宅のパソコンでデザインを作って、プリンターで印刷する方法と比較すると、ネット通販のほうが手軽さ、コスト面で有利と言えるでしょう。

SNSではなく、やっぱり年賀状を出したいというユーザーもまだまだいます。
何と言っても年賀状はすごく大きな市場です。年々縮小していると入っても、やり方次第で伸びる余地もある、ということでしょう。

ちなみに当社でも、年賀状ネット通販のサイトを運営し、21年目になります。

年賀状はやっぱり、年賀本舗

変わりゆく新年の挨拶

一昔前は、元旦の朝になると年賀状の配達が待ちきれなくて、何度もポストを覗き込んだ、という方もいるんじゃないでしょうか?(特に40代以上)

ポストに束になって入っている年賀状を見ると、とてもワクワクしたものです。
1枚1枚、じっくりと年賀状を見て楽しんだり、自分に届いた年賀状の数を家族と競ったり。
実は筆者もその一人なんですが、こうしたお正月の「風習」は時代とともに変わりつつあります。

情報伝達の主役が郵便であった時代はとうに過ぎ去り、今やネット・SNSの時代です。
家族それぞれがスマホを持ち、SNSで新年の挨拶をする。
親も、子供がどんなつながりがあって、年始のやり取りをしているのか見えづらくなっている。

そんな風潮に、とまどいや寂しさも感じますが、情報伝達の手段としては、今やSNSに勝るものはないでしょう。
まして、年賀状とは言っても、両面印刷された定型文しか入っていないものだと、いかにも事務的で心が込もっていないように感じるという人もいます。

それだったら、SNSで絵文字やスタンプを使いながら、楽しくメッセージを送り合うほうが心がこもっていると感じる人もいるでしょう。

時代と共に情報伝達やコミュニケーションの形は変わっていきます。
新年の挨拶も多様化しています。
年賀はがきの数は縮小してくのは確実だと思いますが、そんな中でも、送る相手に応じてSNSと年賀はがきを使い分ける、という共存の方法もあると思いますが、どうでしょうか。

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